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「最後に質問があります。先ほど私に、復讐しようと思ったことはあるかと聞きましたね。私にも同じことを聞かせてください。貴方はIDEOに復讐しようとしているのではないですか? 貴方がパターソンさんを復讐の輪から解放したように、私も貴方の復讐の手助けは望みません。貴方がここまでする理由は何ですか?」
ここで選択を間違えればIDEOの手掛かりは手に入らない。ノアは思考を巡らせようとした、が、諦めた。
立花のような男は取り繕った正解を望まない。素直になるしかないのだ。仕方がないといった様にふっと肩の力を抜く––––
「許せない人がいるんです。私はその人を……」
立花が身構えるが、その続きは思いもよらない言葉だった。
「許したい。この世界の誰よりも、大切な人だから。ただ、それだけです」
立花はノアの背後をじっくりと眺めた。ノアを見守る三人の眼差しを見て、彼は安堵の表情を見せる。それ以上探る必要はない、と言いたげな顔だ。
その前後からの視線に、ノアは気恥ずかしさと居心地の悪さをおぼえた。
「分かりました、協力しましょう。お話いたします、私が知りうるIDEOのことを」
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