夢を見させてやる

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  ◇ ◇ ◇  事務所に帰ると、ノアはジャケットを脱ぎチェアに腰掛けた。鞄からエマから受け取ったファイルを取り出しデスクに書類を広げる。 『夢屋 特注依頼書』  ノア・クラークは夢を見る。空を飛んだり、アジアの国の王になったり、悪魔に追われたり、様々だ。それゆえ彼は擬似夢の世話になることもなく、ドリーゼを接種する必要もなかった。また、彼は擬似夢による脳への負荷にも耐性があった。  だから彼は始めることにしたのだ、夢屋の仕事を。客からの細かな指示を全て完璧に再現し、緻密で芸術的な作品を生み出す、夢のオーダーメイド。世界でたった一人、彼にしか出来ない仕事……  ファイルの中から女性の写真を摘み上げた。ブロンドの長い巻き髪に、口元のホクロが印象的な女性が微笑んでいる。  「好いた男の夢に出たい、ねえ……」  
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