警察省

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警察省

   しんみりとした空気がノアとエリックを包んだ。窓の外を見る、今日は雨だった。 「ベンソンさんは俺に武術の基礎だとか、上に立つ者の責任だとか、大切なことを沢山教えてくれた。警備隊の第二師団隊長なんて、ベンソンさんがいなきゃ絶対に務まらなかったよ」 「恩人なんだな」 「ああ」  エリックは彼を形作った思い出の数々を懐かしんでいるようだ。  そのまま浸らせてやりたいのは山々だったが、如何せんIDEOが関係するとあっては悠長にはしていられなかった。 「それで、依頼って? 事件を忘れたいとか、チャーリーに夢で会いたいってところかい? 彼の依頼を受けることと、IDEOのパーティーがどう繋がるんだい」 「ああ、そうだな。ベンソンさんは、奥さんに夢をプレゼントしたいんだ。事件以来ずっと『自分が死ねばよかったんだ』って塞ぎ込んでるらしい。ノアの夢で、奥さんを少しでも前向きにしてやれないか?」 「なるほどねえ」  ノアは右手を顎に添え思案した。滑らかな肌を親指でなぞる。 「パーティーの件は、ベンソンさんは、その〜…… 警察省の人間なんだ」  ノアが文句を言おうとするのを遮って、エリックは続けた。 「もう辞めるんだ!! 退職して、家族との時間を大切にするんだって。お願いだ、信じてくれ! ベンソンさんは信頼できる人だ」
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