君の涙

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「おはようございます」 「おはよう」 「はよーん」 「おはおは」 教室に入るとあいさつの嵐だ。 僕は自分の席に座る。 しばらくして担任が入ってくると、その背後についてくる少年に、はっとなった。 (あのときの……!) 長めの前髪が邪魔をしているが、綺麗な顔をしていた。クラスの女子がざわついた。 黒板に〈中島未来〉と書かれ、彼は空いている僕の隣の席に座った。 「……よろしく」 ぼそっと呟かれた声は、嗄れていた。 「よろしく、森叶和です」 僕はあいさつしたが、何か心にひっかかった。 「……みーちゃん?」 ぽろっとこぼれた愛称に、彼ははっと目を見開いた。 「とわ、くん?」 僕は手にしていたシャーペンを落とした。
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