親(バカ)の扱い

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親(バカ)の扱い

シルバーダに来て暮らし初めてから1ヶ月が経過して、3つ分かったことがある。 先ず1つ目に分かったことは、この世界には化学が発達していないことだ。 以前父さんにテレビがないかと尋ねたら、「すまない、初めて聞く言葉だ」と言われてちょっと肩を落とした。まあ、第一人生ではテレビで好きな番組とか観て過ごしてたからな。 化学という概念は捨てることにした。 次に2つ目が、この世界でも職業があることだ。 教師や看護師、更に地球にはなかった防龍士等があるみたいだ。防龍士は謂わば警察官と同じ働きをしているらしい。 悪い龍人もいたり魔物も存在すると歴史書に掲載されていた。動物じゃなくて魔物か...しかも、どうやら魔物のいる地域は立ち入り禁止のマークがあり、街の周りには結界が張られているそうだ。 でもまだ、僕にはそんな資格ないから今の所関係ないけどな。 最後に3つ目、先週本で見たこの文章に書かれていたページに、やはり父さんは歴史上に残る龍神なんだな。 大昔から今に至るまで、この星を護ってたみたいだ。 てか、現在何歳だ?て聞くのは止めにしよう こういう質問は何かと失礼だからな。 学校に入学するまであと2年9ヶ月ある。 やるべき事やっておかないと、また後悔する羽目になる。後で魔法の練習と入学試験の勉強しとかないといけないし、それが終わったら寝よう。   ー5ヶ月後ー この生活にも大分慣れてきたが、やはりどうしても【アレ】をしたい。 サクリア「父さん、僕料理してみたい。」 バラム「料理なら心配するな、私がやっておくから。」 サクリア「でも、折角キッチン台あるんなら使わなきゃ損じゃん。それに、こんなに楽にしてくれてるのはありがたいんだけど、自分の手で簡単なのでいいから作ってみたい。」 バラム「私の料理では駄目なのか?」 少し悲しそうな声を出してきた。 いや...あれは魔法であって料理じゃないから。 魔法からどうやって料理が出てくるんだよ。 あんたの万能すぎるから、前々から思った事なんだけど。しょうがない、ここは一つ、子供ならではの【お願い】をするしかない! サクリア「僕お料理やってみたいの、お願いおとーさん♪」 バラム「.........」 あれ、返事中々返って来ねえな。 頭おかしくなったのかと思われてるのかな。 やっぱりこんな演技しても無理だっ「もう一回」ん? もう一回?さっきのやれってことか。 仕方ない、料理の為にやるか。 サクリア「お・ね・が・い♪」 バラム「...」ズイ ちょっと、何で無言で近付いてくるの。 逆に恐いわ。 バラム「...か、」 サクリア「か?」 バラム「うちの子可愛い!!!」 サクリア「ぎゃあああ!!??」 急に父さんが問答無用で抱き付いてきた。 このパターンまたかよ!? ちょ、離れて!きついんだけど!? サクリア「父さん!一旦離れて、首が絞まってる、苦しいから!」 バラム「おお、すまん私としたことが、サクリアが可愛くてつい抱き締めてしまった。」 サクリア「それは分かったけど、僕男だからね。」 いやー、恐ろしい目にあったわ。 まさかあんなので効くとは思わなかった。 正に効果覿面ってやつ? そう思っていると、父さんが話しかけてきた。 バラム「では、食材や料理本を買いに行くとしよう。」 サクリア「じゃあ僕も一緒に行っていい?」 バラム「それは駄目だ、家にいなさい。」 サクリア「はーい。」 くそー、やっぱり行けないか。 サクリア「てか父さん、その姿じゃ却って目立つんじゃない?」 バラム「それなら案ずるな。」 すると父さんの体が光り始め、程なくして光りが収まると別人に姿が変わっていた。 バラム「では出掛けてくる、留守番して良い子にしてるんだぞ。」 そう言うと同時に、ドアを開けて父さんは飛び立った。 サクリア「行っちゃった。ちぇー、一回でもいいから行きたかったな。」 愚痴る僕は2階へと上がりベッドにダイブした。 サクリア「...結局3年経たないと行けないのかな。もう、父さんのケチ!」 精神年齢は23でも、拗ねる事には変わらない。でもまあ、僕を思っての事だから当然か。 サクリア「よし、父さんが帰ってくるまで魔法の練習するか。」 ベッドから起き上がり、棚にあった本を読み始めた。 サクリア「えっと、家の中でも安心して使える魔法はっと...あった。」 魔法書:生活火魔法『ホット』物を温めたりすることが出来る。 生活火魔法2『ヒート』周りを暖かくすることが出来る。 生活水魔法『ウォーター』水を生み出すことが出来る。 生活水魔法2『ウォッシュ』水を組み合わせることで、物を洗うことが出来る。 サクリア「ものは試しだ、早速やってみよう。」 えーと、取り敢えずイメージだ。自身の中にある魔力を変換して温かくなるようイメージ......!来た。 あったか〜・・・ホッカイロでも持ってるみたいだ。 これをさっきの飲み物に自分の手をあてて飲んでみた。 サクリア「やった、成功!もしかしてこれ誰でも出来るお手軽な魔法だったりする? 練習する事がこんなにも楽しいのはスッゴク久しぶりだ!」 こうして僕は、さっき見た残りの3つの魔法を10分単位で出来た。...出来ちゃった、なんか簡単に出来て逆に自分が恐いくらいだ。 龍神の血が入ってるからなのか、それとも元々魔法が得意な方なのかは分からない。 そう思い僕は、自身の翼を使い部屋の中飛んでいた。 そうしていると、父さんが帰ってきた。 バラム「サクリア、今帰ったぞ。」 サクリア「は~い。」 僕は飛ぶのを止めて下に降りた。 父さんは手に何も持っていなかった。 サクリア「あれ、父さん荷物は?」 バラム「待ってろ、今取り出す。」 出すって何処からと思っていたら、何もないとこから次々と荷物が出てきた。 え、これ収納ポケットみたいに運べるの?! サクリア「何でなにもない所から荷物出てきてるの?!」 バラム「これは空間収納と言う魔法の一つだ。」 サクリア「えっ何それ超便利なんだけど!僕も出来る!?」 バラム「これは私のオリジナル魔法で、サクリアは出来ないな。」 サクリア「マジかー、龍人の皆は今の使えないの?」 バラム「そうだ。」 残念がる僕は頬を膨らませているのに対し、頬をつついてきた。 バラム「はは、使えずとも大丈夫だ。 さあ、料理をするのではなかったのか?」 サクリア「そうだった、ありがとう父さん!」 バラム「はう!子供の笑顔が見れてこんなに嬉しい事はない!サクリア、ハグしてはくれまいか?」 サクリア「丁重にお断りする!」 バラム「え!そ、そんな!?」 サクリア「だけど、父さんからじゃなくて僕からハグしてぎゅーします。」 僕は、父さんに向かってハグをした。 バラム「サ、サクリア?!」 サクリア「父さん、最高のプレゼントをありがとう!」 バラム「...!そうか、思えばお前が来てから一回もプレゼント・お土産をやったことがなかったな。ふふふ...息子に教えられるとは、私も親としてはまだまだということはだな。」 サクリア「そういうこと。(本当は違うけどそういうことにしとこ)」 父さんは優しくハグしてくれた。これで必要な物はゲット。練習&実践あるのみ!       ー1分後ー サクリア「ねえ父さん、そろそろいい?」 バラム「駄目だ、私が満足するまで離さん。 お前が可愛い顔で言うからいけないんだ。」 そう言い中々離してくれなかった。 しょうがない、満足するまで付き合うか。         龍人族サクリア・レイン(元人間) 年齢:9(23) 正式にバラムの子供になった元人間のサクリア。バラムに可愛がられているが当人が少し抜けている所もある為、お節介だと感じ少し面倒臭がりながらも優しい性格を持つ龍人。基本的に、出来れば他人とはあまり関わりたく思っている。 龍神バラム・レイン 年齢:??? サクリアの父親。自分に子供が出来て悦ぶ本人は、「早く皆に自慢したくて仕方ない」と内心思っている。サクリアが学校に通い始めるまでの間、勉強や特訓を教えたり手伝いをする。本人は軽く500年以上生きている為、実年齢は不明。サクリアには是非良い友達を持って欲しいと願っている。
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