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物凄く努力をして医学部に入学した。真面目に講義を受けて、留年することなく卒業。研修医期間を無事に終えて、念願だった医者になった。毎日激務を乗り越えて、ただ眠るだけの家に帰宅する。独身、彼女なし、根暗。僕の印象なんてそんなものだ。周りの目なんてどうでもいい。生きている目的なんてただ一つ。いつか蘇らせノートを拾うことくらいだ。それで誰を生き返らせるかはもうとっくに決めている。
僕が医者になる前に事故で急にいなくなってしまった小学校からの同級生。初恋の子、などという色恋沙汰ではなく、男だ。大好きだった祖母でもなく、幼い頃に病死した幼馴染の女の子でもない。もしも蘇らせノートを拾ったら、彼に使うことを決めていた。彼が死んだあの日から。
だけど現実はそう甘くない。世界中のみんなが拾うことを夢見ている程の物だ。待ち侘びてもう早数年が経とうとしていた。だけど、どんなに月日が過ぎても、その夢を諦めることはできなかった。
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