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「リビングは散らかってはいないけど、寝に帰るだけだから何もないんだ。適当に腰かけてよ。トイレはそっちのドア。こっちの部屋はかなり汚いから絶対に開けないでね」 「了解。お邪魔しまーす。本当に何もないな……ソファ座ってるぞ」 「うん。お酒色々買ったけど、とりあえずビール? 日本酒、焼酎、ワインも買ってあるよ」 「マジかよ。至れり尽くせりじゃねぇか。ワインも飲みたいけど、やっぱりビールかな」  返答を聞いて冷えたビールをグラスにちゃんと注ぎ、つまみのチーズを盛り付けてリビングの彼の元へ向かった。お互い座った状態で乾杯をする。彼はグラスのビールを美味しそうに一気に飲み干した。 「はぁ、うまっ。生きてるって感じだ。ってかここ平屋か? いい感じの家だな」 「そうそう。アパートとかマンションだと隣近所に気を遣うし、大きい音も立てられないしね。借家だけど気に入ってる」  二人で部屋を見渡して、のんびりとした空気が流れる。僕は空になった彼のグラスに黙ってビールを注いだ。彼は突然俯いて、何かを言いたそうな顔をしていた。 「……俺さ、お前に、ってあれ……なん……か、頭が……」 「……どうかしたの? もう酔っぱらっちゃった?」 「いや……まだ一杯しか……おか……しい」  彼は頭を抑えたまま、リビングの机に突っ伏してしまった。僕はいそいそとテーブルの上のグラスやつまみを片付け始めた。台所の引き出しに入っている睡眠薬を手に取って、結構早く効いたな、と笑みがこぼれた。 「さてと、準備しよーっと」
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