苦手な先生

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 先生は未だに泣きじゃくる私の手を取ってリビングへと向かった。  引っ張られるがままにしていると、ソファーに座らされた。手が離れたかと思うと、少ししてテーブルに置いてあった箱ティッシュを渡された。そして、隣が沈んだ。  三十分程度、そうしていた。が、私のお腹が盛大な音で鳴り響いた。どうして、こんなときでもお腹が空くんだ。 「さっきコンビニで弁当買ったんだ。食べよう」  そういえば、先生だって何も口にしていなかっただろう。 「すみません。お腹空いていましたよね」 「はは、まあ、あと少し遅かったら俺の腹が鳴っていたかもな。でも、安心した」 「……俺、ですか」 「あー、そこなのか。引っかかるの」 「初めて聞きましたよ、俺って言うの」 「プライベートでは基本、一人称は俺だよ」  そうなんだ。ということは、今はプライベートなのか。いや、違うだろうけど。青木先生がこうして隙を見せるのは珍しいな。疲れているのだろう。当然だ。 「お弁当ありがとうございます。食べましょうか」 「だな。食べよう」  弁当の付け合わせにはポテトサラダが入っていた。材料、完璧にペースト状になったじゃがいも、味付け。とにかくおじいちゃんのポテトサラダとは全然違う。 「レシピ、教わっといてよかった」 「何のレシピ?」
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