喪失と

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喪失と

 吸いこまれるような青空、いつの間にか少し近づいた日差し。いつも通りの穏やかな休日。今日は友達と遊ぶ予定もないし、ダラダラして終わるんだろうなぁ。暇を潰せるものが欲しい。後で図書館で本でも借りてこようか。思案しながらカーテンを開けた。 「しぃちゃん、おはよう」 「あ、おはよ」  そうしているうちに、おじいちゃんが起きてきた。取りあえず朝ご飯にしよう。 「朝ご飯、パンでいい?」 「ああ、いいよ」  焼いた食パンにハム、スライスチーズ、レタス、トマトを適当にはさむ。完成。木下家の朝は基本的に雑なメニューである。 「しぃちゃん、今日予定あるか?」 「なんもないよ」 「買い物行かないか。車でショッピングモールまで」 「いいけど、なんで? 買う物あったっけ」 「卒業祝いと入学祝いに、服でも文房具でも、好きな物買ってやるから。自分で選んだ方が間違いないだろう。遠慮はしなくていいからな」  本当はそんなのいいのにと思うけど、ここは素直に甘えるべきなんだろう。 「いいの? ありがとう」  声のトーンを上げてみた。嬉しそうにしてこそ意味がある。 「そうと決まれば、早く準備しなければな」  正解だ。全く、すぐに私を甘やかすんだから。 「張り切りすぎでしょ」  でもやっぱり、緩んだ祖父の顔を見て、悪い気はしない。
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