0人が本棚に入れています
本棚に追加
…それからのことはあまり覚えていない。
気づいたら、私は自分の部屋で、机の上に伏していた。
『話があるんだけど』
美雪ちゃんの、冷たい表情を思い出す。
明日の16時、私は保育園地下1階の控室で彼女と待ち合わせることになった。
遊戯会、地下1階、怖い顔、話ーー。
話の内容はきっと…昨日のことだ。
私が彼女の衣装を切り裂いたことを、知ってしまったのだ。
ぐっと私は頭を腕の中に潜り込ませる。
美雪ちゃんに会うのは怖かった。
けれど、これで良かったのだとも思う。
いつまでも隠しておくことはできないと思った。
けれど。
私は、保育園での美雪ちゃんとの日々を思い出す。
今日みたいに、彼女が私を助けてくれた日があった。
その日以来、私は美雪ちゃんといつも一緒にいるようになったのだ。
彼女の太陽のような笑顔にいる時間が、私にとってかけがえのないものだった。
そんな彼女との大切な日々が壊れてしまうのが、私は…嫌だった。
「明日が、来なければいいのに」
そう呟いたまさにその時だった。
「明日は僕が、お届けするのだ!」
小さな男の子のような声が私の耳元に響き渡った。
最初のコメントを投稿しよう!