3月3日

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3月3日

朝起きると、私は3月3日にいた。 ベッドの上の置き時計が3月3日を示していたのだ。 当然ながら3月2日の記憶は私にはなかった。 起き上がった私は、妖精さんに昨日のことを尋ねる。 すると、妖精さんはすらすらと昨日のことを話した。 いつも通り私が起きたこと、私がいなくなったあと一人で遊んでいたこと、 そして家に帰ってきた私が変なことをしていたこと。 「変なこと?」 「尖った針を何度も刺してて怖かったのだ!!」 ぶるぶると震え出す妖精さん。 尖った針…? ぶるぶると震えたきり、妖精さんは黙り込んでしまった。 私は彼の頭を軽く撫でると、部屋を出た。 ーーー 年長組の保育室に着くと、私は無意識のうちに美雪ちゃんを探した。 彼女は窓際の少し遠い場所で、他の女の子たちと話していた。 その様子をしばらくの間、見つめていると、彼女が不意にこちらを見た。 しかし、目を伏せるとすぐに女の子たちの方に向き直る。 『はなみーー!ねえ、これ見てー!』 私を見ると、すぐに駆け寄って、話しかけてきてくれる美雪ちゃんは、もういなかった。 ぎゅっと締め付けられる胸を押さえて、私は彼女から視線を外した。 彼女と積み上げてきた日々は、 たった一つの間違いでこんなにも簡単に崩れてしまう。 それが私は無性に寂しかった。
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