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午後の自由時間になると、私はある場所に向かった。
いくつかの階段を降り、辿り着いたのは、地下一階の控室。
そこには、私が欲しいあるものがあるはずだった。
それは、美雪ちゃんのお遊戯会の衣装。
控室に入り、明かりをつける。
私はどうしてもその衣装が欲しかった。
最後に、美雪ちゃんに渡したいものができたのだ。
彼女の衣装をお返ししたいと思ったのだ。
自分が引き裂いてしまったその衣装をしっかりと縫い合わせて。
最後の私の、償いとしてーー。
ーーーー
しかし、ついに彼女の衣装は見つけることができなかった。
「なんで…」
彼女の衣装は、遊戯会の後もここにずっと置かれていたはずだった。
私はふらふらとした足取りで、控室を出る。
保育室への階段を呆然と歩いている時、ふと妖精さんのある言葉を思い出した。
『尖った針を何度も刺してて怖かったのだ!!』
気にも留めなかった彼の言葉が、少しずつ自分の中で形を持ち始める。
気づくと、私は保育室に駆け出していた。
そして、保育室に辿り着くと、私は組の子達にあることを聞いて回ったのだった。
「あの、美雪ちゃんのお遊戯会の衣装、私が持ち帰ったりしなかった?」
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