3月15日

2/3
前へ
/12ページ
次へ
午後の自由時間になると、私はある場所に向かった。 いくつかの階段を降り、辿り着いたのは、地下一階の控室。 そこには、私が欲しいあるものがあるはずだった。 それは、美雪ちゃんのお遊戯会の衣装。 控室に入り、明かりをつける。 私はどうしてもその衣装が欲しかった。 最後に、美雪ちゃんに渡したいものができたのだ。 彼女の衣装をお返ししたいと思ったのだ。 自分が引き裂いてしまったその衣装をしっかりと縫い合わせて。 最後の私の、償いとしてーー。 ーーーー しかし、ついに彼女の衣装は見つけることができなかった。 「なんで…」 彼女の衣装は、遊戯会の後もここにずっと置かれていたはずだった。 私はふらふらとした足取りで、控室を出る。 保育室への階段を呆然と歩いている時、ふと妖精さんのある言葉を思い出した。 『尖った針を何度も刺してて怖かったのだ!!』 気にも留めなかった彼の言葉が、少しずつ自分の中で形を持ち始める。 気づくと、私は保育室に駆け出していた。 そして、保育室に辿り着くと、私は組の子達にあることを聞いて回ったのだった。 「あの、美雪ちゃんのお遊戯会の衣装、私が持ち帰ったりしなかった?」
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加