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2月28日
「花実、あの衣装、破きなよ」
ぽいっと私に投げ渡された、折りたたみ式のナイフ。
にやにやと笑いを浮かべながら、目の前の女の子たちは私に詰め寄った。
保育園地下1階の控え室は薄暗くて、目の前の女の子たちがいつも以上に恐ろしく見えた。
「もし、やらなかったら・・・わかってるよね」
その時、高らかな笑い声を彼女たちはあげた。
私は、彼女たちから受けたこれまでの仕打ちを思い出す。
そして反射的に、私の体が震え出した。その悔しさに私の体の底から熱いものが込み上げてくる。
「はやくやれよ!」
大きな声をあげる、一人の女の子。
その声が合図だった。
私は取り憑かれたように、ふらふらと壁際にかけられていたある衣装の前に立った。
ごめんなさい。美雪ちゃん。
そして、私は刃を大きく振り下ろしたのだった。
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