初めてのクリスマス

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初めてのクリスマス

「パパ〜サンタさんってなにー?」 夕食の片付けをしているとテレビを見ていた息子から声がかかる。 もうそんな時期なのかと思いながら早々と片付けを終わらせ、息子のいるリビングへと向かう。 「クリスマスにプレゼントを配る優しいおじさんだよ」 「クリスマスー?」 「そう、12月25日のことをクリスマスって言うんだ」 「クリスマス!僕もプレゼント貰えるー?」 「あぁ、良い子にしてたら貰えるさ。どんな物が欲しいんだ?」 「んーとね、この前友達と遊んだ時のおもちゃ!楽しかったの!」 「んー。それだけじゃサンタさんが分からないから、この紙に絵を描こうか!」 キラキラと目を輝かせて色とりどりのクレヨンで白い用紙を埋めていく。そんな息子の姿を優しく見つめる。 物心つく前に妻が病気で亡くなり、そのせいで暗い表情を度々見せるこの子に少しでも楽しい時間を増やしてあげたいと毎日のように思っていたから、こういったイベントのある時は笑顔が絶えないように大切にしている。 「出来た!」 そう言って描き終えた紙をぐいぐいと押し付ける。 「…カラフルだねぇ」 やはり絵でも難しかったか、たくさんの色で飾られた物は原型を留めておらず、丸や三角の図形だけしかわからない。 それでもかわいい息子が頑張って描いた絵だ。仕事帰りにでも玩具屋で探そうと決意した。
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