ワタシノミカタ

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 カレンがSNSで裏アカを持っていて、陰でメンバーの悪口を言ったり、事務所に対する不満を漏らしていることをわたしは知っている。当然、名前などは伏せてはいるが、あれはカレンのことで間違いないはずだ。  彼女は常々、将来はバラエティ番組に出たりドラマや映画に出演するようなマルチタレントになりたいと話していた。  あのままアイドルを辞めていたら、最高の話のネタになる、そう思っていたのだろう。  写真を流出させたのは、同級生のあの女の子ではなく、カレン本人だとわたしは考えている。  売名行為で知名度を上げて、そのまま個人を売り出そうとしていた、そんな感じか。  でも、ミカさんがわたしたちを救ってくれた。彼女はそこまでは計算出来ていなかったようだ。   「カレン、本当によかったね。辞めるなんてもう言わないでよ」  わたしがそう言うと、「はい! 絶対言いません」と笑顔のままで裏腹な言葉を発する。 「私さ、このメンバーに出会えてよかったよ。誰も欠かしたくない。絶対に優勝してさ、そのままアイフェスに出て、ミカさんに直接お礼言おう」  伊依理の言葉は重みがあって、皆は深く頷いている。    カレン、あなたが心の中でどんなことを考えていたとしてもいい。『わたドラ』を辞めなくてよかったと思えるぐらいに、わたしたちはトップアイドルを目指していくから。  だからそれまでは、最高のビジネスパートナーでいてほしい。  それが彼女に対する、わたしの見方だった。
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