ワタシノミカタ

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 その後、長い沈黙が続き、カレンがポツリと声を溢した。 「……私、もう辞めます。これ以上、メンバーに迷惑かけられないです」 「いや、ちょっと待ってよ、冷静にさ」  マネージャーが慌てて彼女を説得する。  でも、メンバーの中でカレンを擁護する人はいなかった。  そのとき、ガタっと椅子から立ち上がったのは伊依理で、「ごめん、ちょっと外の空気吸ってくる。ここにいたら、気が狂いそうになる」と言って部屋から出て行った。  それを見てカレンは再び涙を流した。 「……本当にごめんなさい。私が全部悪いんです。アイドルを目指していたのに、あんな写真撮ったから」  過呼吸のようになってしまい、慌ててマネージャーが背中をさする。 「とりあえずさ、三人、部屋から出てくれる?」  そう促されてわたしたちは会議室から出た。応接間にあるソファに座り、何度もため息をついた。 「今日の順位、ヤバいよね」と沙耶香。 「絶対落ちてる」と結実。 「っていうかさ、このタイミングっておかしくない? あと一週間切ってたんだよ? あの写真流出させるにしてもさ、もっと別のタイミングだってあったはずじゃん。誰がやったのか知らないけど、超悪質っていうか」 「確かに。まるでさ、狙い澄ましたみたいに」  わたしは二人の会話を聞きながら、この先の未来図が消えていくところを想像していた。夢の舞台が薄れていく。 「私考えてたんだけどさ、ライブの直前にさ、前の組が終わったとき、カレンと同級生って言ってたあの子いたじゃん。泣き崩れた子。カレンが慰めようとしたら、手を振り払ってさ」 「あー、いた」 「あの子、怪しくない? って思って。同級生で、しかも目の前にいたライバルが通過するなんて、許せなかったとか」  確かに、ない話ではないなと思った。  アイドルといえども、女子の集まり。  ましてや、それが人生を左右するような大事な場面。足を引っ張って引きずり下ろすことも考えるのかもしれない。
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