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一人の男が叫ぶ。
「この男、黒闇ではないか!?」
一斉に多くの目が黒を捉える。
「肩まである黒髪に白すぎる肌…確かに''あの''黒闇とそっくりだ…」
「だろう?それに禍々しい紫色をした瞳…。間違いない!こいつはかつて鬼の頭首だった黒闇だ!」
その会話はざわざわと村人たちに伝染していき、終いには葉月にまでも届いてしまった。
放心していた葉月は我に返り、驚きと疑いの目を黒に向けた。
このたった数時間の出来事が、あの冷静な黒を追い込んだ理由だ。
「…黒さんは''おに''なの?」
ビクッと肩を揺らしながら葉月の方を見れば、興味津々といった表情でこちらを見ていた。
「あぁ。そうだ」
短く答えれば葉月が何かを言う前に、村人たちが叫びだした。
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