共同生活の始まり

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「あの…掃除してない場所がたくさんあるよ?」 「あぁ、使っていない部屋が多すぎてな。後回しにしていたんだ」 「後回しって感じでも無いんだけど…?」 「ねぇ、同じ服ばかり着てるけど…」 「大丈夫だ。しっかり洗っている」 「本当に…?」 「本当だ」 「髪を湿らしたままなのは良くないよ」 「風に当たればすぐ乾く」 「だめ!風に当たる前に布で少し乾かさないと。黒さんの髪綺麗なんだからもったいないよ…」 共同生活が始まってすぐ、黒のずぼらな性格を理解した葉月。小さな体で屋敷の中を行ったり来たりする。 しかし 「葉月よ新しい服を見繕ってきたぞ」 「この布団では体が痛いだろう?ベッドと呼ばれる物を持ってきた。これを使え」 「君こそ綺麗な髪をしているんだ。そんなに強く結っていたら傷むだろう…」 などと葉月をこれでもかと甘やかすので何も言えなくなる。
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