給仕のはずだった

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一方、屋敷に逃げ込んだ葉月はうるさい心臓をどうにかしようと、いつもより気合いを入れて家事をしていた。 動いていれば先程の事も忘れるだろうと思ったのか、忙しなく走り回っている。 「葉月」 後ろから声をかけられ、思わず振り向いてしまう。 「うぁ…!びっくりしたじゃん!」 まだドキドキと鳴る心臓を押さえながら言葉を返す。 「私はただ、葉月に休んでほしいだけなのだ」 黒は素直に簡潔に伝えようと一言で言い切った。 「そ、そうだったんだね…!でもわたしは大丈夫だよ!」 「しかし…」 「じゃあ、わたしのお願い聞いてくれる?」 「あぁ!なんでも言ってくれ」 子犬のようにしょんぼりとした顔を見てしまっては葉月も強く断れなかった。
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