逢瀬のような

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逢瀬のような

「お願いとは本当にこんなもので良いのか?」 「こんなものじゃないよ!わたしには特別な事なの!」 翌日、二人は屋敷から少し離れた街へ来ていた。 「ここなら行こうと思えばいつだって行けるのだぞ?」 「そうかもだけど、ずっと二人で来てみたいと思ってたから…」 「そうか、ならば今日は好きなだけ遊べばいい」 「うん!」 葉月と黒は並んで歩き出した。 「葉月よ、そんなに急ぐでない」 「ご、ごめん…!どれも見たこと無いものばかりでつい…」 「大丈夫だ。店は待っていてくれる」 「うぅ…でもやっぱり早く色んな場所に行きたい!」 「ふっ、仕方のない子だ」 黒は優しく微笑むと「ほら」と手を葉月の前に差し出した。 「そんな子どもじゃないもん…」 「私からしてみれば赤子だが?」 「うぅ…わかったよ…」 葉月はいやいやながらも黒と手を繋ぎ、恥ずかしそうに少し後ろを歩いていた。
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