第5話 秘密に迫る時

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「でもやっぱこっちはすごいね。こんなにオシャレでリッチなレストランに庶民の私たちが来ちゃってよかったのかな……」  少し不安そうに周りを見渡す真世に対して、綾乃はまるで何かの当てつけのように言ってみせる。 「ああ、ここは私が奢っちゃうから気にしないで?」 「ええっ?! そんなの悪いよっ!」 「いーのいーのっ! なんてったって、休日も一人ぼっちにされて給料入っても使うこともないんだもーん。お金が貯まって貯まって仕方ないのよねぇー!」  半ば自暴自棄のようなその言葉と態度で、なんとなく察した真世。 「……なになにっ? もしかして、綾乃……彼氏に会えなくてモヤモヤしてたり?」 「うっ……」  こうして自ら墓穴を掘ってしまった綾乃は、真世にその内情を吐露することになるのだった。 「綾乃、それって……超怪しくないっ?!」 「やっぱ……そう思う?」  予想通りの反応に肩を落として深いため息をつく綾乃に、真世は少し考えてから話し始めた。 「私の元彼もね、似たようなことがあったの」 「どんなこと?」 「今の綾乃の彼みたいにすっごく仕事とか他のことに忙しそうでさ、こっちから誘っても何かと理由つけて会ってくれない期間があって……そしたら案の定! 浮気してたんだから……!」 「う、浮気っ……?!」  鵜呑みにするつもりはないが、その言葉は不安を誘うのには充分だった。 「……で、その温泉デートに行ったっきりっていうのがポイントなのよっ、綾乃……」  ギラリと鋭い目を光らせて迫る真世から少し引く綾乃。 「な、なんで……?」 「男っていうのは結構ズル賢い生き物だからね……いきなり突き放したら不審に思われ兼ねないからって、その前に充分を与えてしっかり繋いでおいてから浮気に走るのよっ……!」 「え、エサ……?!」  脳裏に蘇る、あの温泉デートの思い出。  葵と二人っきりの貸し切り露天風呂で過ごした、熱くて甘いひと時。  お風呂上がりにご馳走になった、高級寿司店の口が腫れそうなほど美味しかった大トロ寿司。 「(あれは……全部、私を繋いでおくためのエサだったっていうの? 本当に…?)」
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