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「やだ、葵……それ……っ!」
「……『やだ』? 『もっとしてくれなくちゃやだ』……の間違いだろ」
——気が遠くなりそうなほど甘くて、とろけそうで、頭の芯が痺れてしまいそうな彼からの愛撫。
スロウで優しいかと思わせておいて、時折急にその激しさを増しては綾乃の心とカラダをひたすら翻弄する。
そして……
「ね、ねぇ、本当に大丈夫なの……? まだ本調子じゃなさそうだけど……」
トレーナーを頭から乱雑に脱ぎ始めた葵のことを気遣ってみるも、その程よく引き締まった上半身と綺麗に6つに分かれた腹筋を目にするや否やその先の言葉を失ってしまう。
そう、今からされることが何なのか……それを理解した途端に——。
——————・・・
二人分の体重がかかったセミダブルのベッドが、葵の動きに合わせるようにして音を出しながら軋み続ける。
そのあまりに強すぎる彼自身の雄に攻められ続けるカラダも、ほんの少し気が緩めばすぐにそれに反応するだけの単なる雌と化してしまう。
「……ごめん、痛くない?」
「うん。大丈夫……」
「じゃあ……気持ちいい?」
シーツとシーツの間で、息を乱した葵の手と手が重なり合う。
「うん……! 私……すっごく気持ちいいの、自分が自分じゃないみたいに……。もう嫌なの、離れ離れになっちゃうのが……!! だからお願い、もう離さないで……っ!!」
指と指が絡んだ彼の手を強く、強く握りしめた。
——もうこの世で一番大切なものは、お互いに瞳を見つめる視線を交換し合うこの時間だけだ。
そう、自分でも自覚していないほどどんな時よりも女らしく、彼のことを五感すべてで感じている今こそが……。
訳もなく目尻から溢れ出た涙が、髪の生え際を濡らす前に彼の親指に拭い去られた。
そして今、彼は応える。
「——うん。何があってもお前だけは離さないって誓うよ。この将来も、ずっとずっと……な」
——何もかも包み込んでくれるような、綺麗で優しい笑顔。
そんな葵も、やがて達する時の一瞬の快感には抗えずにその表情を歪ませるのだった。
「——っあ! イ……くっ……!!」
一層強さとスピードを増した葵の下半身の動きがやがて緩やかになり、何度も小さな痙攣を繰り返す。
カラダだけでなく、脳内もまるで何かのホルモンが大量に分泌されたかのような幸福感で満たされていく中……
「……あ、葵っ?!」
体の上にドサリと倒れ込んできた彼の体は、瞬く間に熱を帯びていった——。
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