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ついついムキになってしまい、突っ立ったままの葵にズカズカと詰め寄る綾乃。
「……まさかあんた、そんなセコイ手使って顧客ゲットしてるんじゃないでしょうねぇ?!」
「い、いや、まぁ……だいたいの女重役相手にはちょっと甘い言葉は使っちゃったけど……」
「まだ他にいるのぉ?!」
「し、仕方ないだろっ、今は1件でも多く大手から仕事もらって実績が欲しいんだから……っ」
そして、ついつい感極まって言ってはいけないことを口にしてしまった。
「なによ……だいたいあんた、1000万もお金貯め込んでるくせにっ! たっぷり備えがあるのにそこまでする必要なんて——はッ!」
気づいて口を押さえた時には時すでに遅し、今度は怪訝な顔をした葵の方が綾乃に迫った。
「1000万って……どーしてそのこと、綾乃ちゃんが知ってるのかなぁ〜?」
少し楽しそうに見える彼がニヤニヤと悪い顔をしながら近寄ってくる。
「え、えっと……あのっ……!」
後退りしてダイニングテーブルに後ろ手をついた綾乃は、あっさりとその罪を告白してしまうのだった。
「……ごめん! 葵っ! 前に部屋を掃除しようと探索してた時に偶然預金通帳見つけちゃって、その……」
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