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企画部長が去っていった後、あたしは自分の姿を見下ろす。
あたしは黒いロングドレスを着ている。
紅葉ねえちゃんから貰った真っ黒なロングドレスを。
「今日は華やかな女の子達が沢山だね!
支社の・・・今は本社になったけど、その女の子達も楽しそうにしていて嬉しいよ。」
矢田さんがそう言いながら嬉しそうにしていて・・・
そしたら、急に大笑いした。
「あいつ、少し生き返ってる!!!」
そう言いながら見ていたのは・・・オーシャンだった。
オーシャンは第一営業部の男性社員達とも女性社員とも楽しそうに話している。
“ゲイ”だと公表?してしまったけど、青田部長の風によりオーシャンがその空気をかき混ぜたから。
話題にもなってしまったけど嫌な感じでは話題になっていない。
「最後に見た時は真っ黒な海になってたんだよ。
もう音しか聞こえないくらい、真っ黒に。」
「あたしが明かりを少し入れられたんだと思う。
ギラギラした夏の太陽の下にある海が1番好きだし・・・その時しか本当の海は見たことがなかったから。
でも、あれが限界だった。」
「今は曇り空くらいかな。
でもビックリしたよ!!」
矢田さんがそう言うと・・・シャッターの音が聞こえた。
見てみると、瞳ちゃんのお父さん。
プロカメラマンでもあり、瞳ちゃんの育休が終わるまではうちの会社の“思い出カメラマン”。
そんな瞳ちゃんのお父さんが矢田さんとあたしにカメラを向けていた。
「明ちゃん、久しぶりだね。
この前うちに来たんだって?」
「行ったよ~!!瞳ちゃんと恋バナで盛り上がった!!」
「瞳が恋バナか、仲良くしてくれてありがとうね。
それにしても・・・明ちゃんも傷だらけだよね。」
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