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麻美社長が美しくお辞儀をした後、美しい声で挨拶をしていく。
それを聞きながらもあたしは心臓がバクバクと煩くなっていく。
そして・・・やっぱり・・・
『天野、こっちへ。』
と・・・。
“女帝”が剛士を呼んだ。
壇上の端から剛士が現れる。
剛士はマイクを持つことなく“女帝”の隣に並んだ。
『本社の人事部の天野は、私が戻る先を作ってくれた重要人物のうちの1人。
身体を張って、私の戻る先を作ってくれた。』
そんな話をする。
もうほとんどの社員が知っている、剛士があの男から性的虐待をされていたと。
そんな話をまたする。
剛士からはなんでもない空気が出ているけど、あたしは止めてほしかった。
そんな話をもうしないでほしかった。
わざわざまた出さないでほしかった。
「明ちゃん・・・。」
あたしが泣いているからか、オーシャンが凄く心配している空気を隣から出してくる。
オーシャンがそんな空気を出している時・・・
“女帝”が言った。
言ったどころか、ピリッとした空気で突き刺した・・・。
なんだか・・・剣のような空気で突き刺した・・・。
『真坂部長。』
そう言って・・・。
オーシャンの名前を呼んで・・・
いきなり、呼んで・・・
鋭い剣で・・・
オーシャンを突き刺してきた・・・。
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