頬に落ちる、透明な君

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翌日。 俺はいつものように昼休みに中庭へと足を運んだ。 結局昨日の「カキザキさん」が何をしたかったのかも分からないままだったが、正直女子に興味のない俺はもう気にもならなくなっていた。 (おっ、今日はオムライスか〜。テンション上がるなぁ) 弁当箱を開けた途端に目に飛び込んできた大好物に、俺は柄にもなく気分が上がって口元を緩ませていたのだろう… 「夏向くん、笑うんだね!」 突然の声に驚くあまり、俺は全身をビクッ!と震わせて後ろを振り向いた。 危うく弁当箱が手から落ちるところだった…。 何故かそんなことを冷静に考えながらも、急上昇した心拍数は、きっと200に届きそうになっていた。 何故なら声のする方には… というか、俺のすぐ真後ろには、昨日ここで出会った「カキザキさん」が立っていたからだった…。 「……びっくりした?ごめんね」 昨日見せたような、体を劈く鋭い視線とは打って変わった柔らかな微笑みを浮かべて、彼女は俺の隣に腰を下ろした。 「…!」 「あ、ごめんね。近かった?」 ケラケラと笑いながら俺の反応をいちいち楽しんでいるような彼女に、俺は何を言ったらいいか分からずにただ弁当箱を守るように抱えて彼女を見ているしかなかった。
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