2人が本棚に入れています
本棚に追加
少女のめくった本から放たれた光に腕で目を庇った。
すると、頭の中に今までの記憶が思い浮かび、書き換えられているかのように知らない記憶が上書きされていく。
ふと目を開くと、そこには黒髪の少女がいた。
不意に声が出ていた。
「あなた、は誰ですか?」
少女は答えた。
「あなたは、道端に倒れていらっしゃったのですよ。」
少年は驚いた。
自分には、倒れた記憶がないのだから。
けれど、助けて貰ったのだからお礼はいおうと思った。
「それは、ありがとうございました。」
少女は微笑みながら答えた。
「お怪我がないようで何よりです。」
その後立てるかと聞かれ、ゆっくり帰るように言われた。
「またのご来店、お待ちしております。」
帰り際に少女がそう言っていた。
不思議には思ったが、今度はゆっくり来てくれという意味かと捉えた。
振り返ってみると、店には「過去相談書店」とあった。
そして、看板には「CLOSE」の文字があった。
ポケットからスマホを取り出し、時間を見る。
時間は、午後11時。
不審に思うことなく少年は帰って行った。
CLOSE
最初のコメントを投稿しよう!