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午後10時。
恩田という少年は、またあの店の前まで来ていた。
看板を見てみると、「OPEN」の文字がある。
少年は、店内へと入った。
すると、昨日と同じ少女が振り返った。
「いらっしゃいませ。恩田様。ご相談はお決まりですか?」
昨日聞かれた質問の内容だった。
少し考えた上で少年は答えた。
少し前からの大きな悩み。
話してみようと思った。
初めてあった人間に言えるような悩みではないのだが、この少女には話してみようと思った。
話し終わると、少女が初めて言葉を口にした。
「…なるほど。つまり恩田様は少し前から、部活で周りについていけないと。」
少年は頷いた。
その通りなのだから。
頷いたことを確認して、少女は続けた。
「では、その現実をどうしますか?過去をやり直しますか?過去を書き換えますか?」
少年は考えた。
この少女が何を言っているのか、理解できなかった。
「…過去を書き換え、る?」
気づけば口に出でしまっていた。
少女は微笑みながら答えた。
「かしこまりました。過去を書き換える、ですね」
少年は少し経ってから、勝手に話が進んでいると気づいた。
「えっ、あ、ちょっと待ってください!」
少年の呼び止めに少女は振り返った。
「なんでしょうか?恩田様」
「あの、過去を書き換えるってどういう、ことですか?」
少女はきとょとんとした表情で答えた。
「どうもこうも、言葉道理の意味ですよ。」
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