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「お待たせ、きょっぴー」
ホールの掃除とテーブルの配置を終えた頃。予告通りにお弁当の袋を持ってアインさんがやってきた。勿論、エミリオさんのお店に届けるための、特製弁当。今日は特に、なんだかとってもいい香りがする。
お弁当の包みの外から出も分かる、食欲をそそるような、美味しい香り。
「いい匂いですね」
「そうだろう? 今日は自信作のグリーンカレーだからね」
「カレーですか」
「食べたくってね、つい」
どうやら今日のまかないはグリーンカレーになりそうな予感がする。いやいや、それより、早いところお弁当を届けなければ。
「じゃあ、さっそくエミリオさんの所にお弁当、届けてきちゃいますね!」
「頼んだよ!」
僕はビストロ・ノクターン特製のお弁当を持ってお店を出る。
ビストロ・ノクターンは基本的にお弁当の販売は行っていないし、会社へのお弁当配送サービスなんかも受け付けてはいない。なにせ人気の洋食屋だから、お店にやってくるお客さんのぶんを作るだけでもギリギリ。だから、エミリオさんのお店は特別だ。
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