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きっとそうに違いない! これは俺の──。
「やあ、大丈夫だった?」
「──っ!?」
突然現れた声に、必要以上に驚いてしまった。いかん! これでは俺が滅茶苦茶怪しいじゃないか!
「なななな、なにかな? 俺は何もっ」
「あぁ、大丈夫そうでよかった。驚くよね、上からこんなバッグが落ちてくるなんて」
思いっきり驚きました!
「ま、当たってなくてよかった。それ、俺のなんだよね」
「そそそそっそそ、そう?」
飄々とした若い男は、すたすたと歩いてきて、にこりと笑うと目の前のボストンバッグをひょいっと担いだ。
「あ」
その拍子に、ファスナーがすっと開いて『福沢諭吉』さんがばっちり見えた。
「あ、やべ」
「……」
ですよね。やばいですよね? やっぱり幸運のアイテムじゃなかったのか!?
「……もしかして、見ちゃった?」
「──!!」
ぶんぶんと首を横に振ってみる。ってか、なんか目つきがやばいっす! さっきまでの優しい笑顔に戻って!
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