カレカノっぽいのはダメなのに

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カレカノっぽいのはダメなのに

おいしい、ってパクパク食べてる登村くん。 登村くんの食べっぷりを見ながら あたしの動揺になんて、気づいてないんだろうな 気づかれなくて幸い、見破られたら困る もう、ここに来れなくなっちゃう …え?あたしってば、また来るつもりでいるの? なにを考えてるの美桜、今日は特別、お祝いに来ただけ! と、いろんな気持ちがぐるぐるしてる。 「あれ?せんせ、食べねーの?すげーうまいよ」 帰ったらごはんあるし、って言おうとしたけど、それは興ざめだなと思って 「どれにしようかなー」 お寿司迷ってたら 「これ、はい」 ちょん、とお醤油つけたのを、口元に持ってこられて 「食べてみ」 「…ん…ほんと、おいしー」 こんなやり取り…カレカノじゃないのよ、全くもう! って思うあたしと、うれしいあたしがいる。 「もっかいカンパイしよ」 「うん」 買ってきたものが多いかなと思ったけど、ふたりで全部平らげた。 「ふー、うまかったー、ごちそうさまでした」 満足そうな登村の笑顔が見られて、あたしもうれしい。 「カラオケでも行きてーとこだけど、しょーがないよね」 ちょっと口をとがらせて、甘えた感じが弟っぽい。 「そうね、今度、お友だちと行ったら?」 「ちぇ、俺、美桜せんせーと行きてーのに」 ぷぅ、とほほ膨らませるのを、つん、ってしそうになって慌てる。 「登村くん、彼女とかは?」 思い切って聞いてみた。 いたら誕生日にあたしなんて呼ばないだろうけどね。 「は?いたらせんせー呼んでねーっつーの」 さっきまでの甘えた顔が、途端に不機嫌になる。 「登村くんなら困んないでしょ」 「あのさ、キャーキャーされんのって、結構だるいんだよ?」 「そっか、無下にするわけにもいかないもんね、めんどくさいか」 「そ、アイドルじゃねーっつーの」 「だったら誰かと付き合っちゃえばいいのに」 「ンだよ、自分だっていねーくせに」 なんでこんな、ケンカみたいな会話してるの、反省。 「ごめん、誕生日なのにね」 「ほんとだわ、お詫びにチューして」 「…っ!!」 びっくりしすぎて、登村くんの顔、じっと見ちゃった! 「なに、その顔、美桜せんせってまじ純情、ははは」 え、あたし、からかわれたの?…17になったばっかりの子に? 無意識に、ぷぅ、ってほっぺふくれてるあたし。 「せんせー、彼氏いたことあるんだよね」 ニヤニヤして、あたしのこと見てる。 「だったらなによ」 つい、ムキになっちゃった。 「んー、ごめん、俺も調子乗りすぎた」 「…うん」 だから、こういうやり取りがカレカノっぽいんだってば…。
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