面談室で、登村くんと

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面談室で、登村くんと

帰りのホームルームであたしが 「今から名前を呼ばれた人は、できれば明日の休み時間に少しお話したいので、そのつもりでいてください」 と言うと 「美桜せんせー、オレ今からだいじょーぶ」 呼ぶ予定のない子が手を挙げて返事する。 「えっとね、ごめん、名前なかった」 「まじかぁ、話したかったのになー」 「相談あるなら、この後、教室で待っててもらえる?」 あたしは真面目に答えてるのに、その子の周りはニヤニヤしてる。 「せんせー、ごめん、やっぱオレ部活行くわ」 「そうね、そうしてください、では名前呼びますね」 軽いおふざけ、と思いながら、その子からは目線を外して 「伊東くん、杉村くん、福井くん、相原くん、登村くん…5人ね、この後でもいいよ、って人いる?」 5人とも、どーすっかなぁ、っていうような表情してる。 「みんな部活とかあるもんね、では明日以降でお願いします。あ、登村くんだけ、ちょっと残ってください」 「了解っす」 座ったまま、登村くんが軽く頭を下げる。 「はい、じゃーみんな、また明日」 担任の声かけで、日直が挨拶をして、解散。 重たそうなバッグを持った登村くんが、前にやってくる。 「せんせ、なに」 「んーっとね、どうしよっかな、面談室の方がいいかな、5分くらい大丈夫?」 「うーい」 本当はこのまま部活へ行きたいだろうと思いながら、面談室の鍵を開けて、中へ入る。 「すぐ済むから、荷物置いて座ってて」 夕方の日差しが眩しくて、カーテンを半分引く。 部屋にこもった空気を放ちたくて、窓を開けた。
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