美桜の伝言

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美桜の伝言

「せんせ、ししょー元気?」 「元気よ」 「ほんとのじーちゃんみたく感じてさ、もっと居たかったな、ししょーんとこ」 登村くんの目線は、窓の外。 意識は長野なんだろうな。 「こないだ行ったばっかなのにさ、もう長野行きてーな、ってなってる」 「楽しかったからねー、行きたくなるよね」 登村くんの向かい側に座ると 「で、話って大学のこと?」 キラキラした目の登村くんに聞かれた。 「そうね、それも含めて、はい、これ」 理系の先生から預かった、メモを渡す。 登村くんは、サッとメモを読んで 「おっ、せんせさんきゅ、講習受けれんだ、やった!」 よっしゃ、ってガッツポーズ。 「部活とかぶるんじゃない、大丈夫?」 「理系のやつら、講習でみんな遅れてくるし、顧問の先生もわかってくれてるからだいじょぶ。ん、ますますやる気出てきた」 ことば通り、やる気満々の登村くん。 「よかったね、受けられることになって。正直、勉強はもっときつくなるだろうけど、がんばれ、応援してる」 そう言うと、登村くんはニコッと笑って 「美桜せんせーの応援があれば、なんだってできるって気ぃしてくる、応援頼んだ」 と、あたしに右手を差し出す。
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