美桜のチェックテスト

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美桜のチェックテスト

授業の初めにやってる、チェックテストのプリントを配る。 「なーんだ、プレゼントあげてもいつもと変わんないじゃん」 「だって、これはみんなのためのプリントだもの、いい?もうすぐ夏休みでしょ、みんな、これはできて当然、ていうのを集めてるんだからね、頼むわよ」  一列の人数を数えながら、プリントを最前列の子に渡し、後ろへ回してもらう。 「全員に届いたかな、今日はね、ある国立大学の問題から抜粋しました、15分で解いてください、いいですか」 ざわつきも、プリントが配られるたびに落ち着いて、いつしかみんなの顔は真剣。 「はい、では始めてください」 言い終わらないうちに、鉛筆やシャープペンシルの音が走り出す。 こんなにたくさんのドリンク、どうやって持ち帰ろう、とドリンクを見つめてから、集中の邪魔にならないよう、机間巡視。 間もなく夏休みのこの時期に、これくらいの問題で立ち止まっていては、夏休みに相当の努力が必要だけど、どの子の手も止まっていない。 よかった… 紙が動く音がして、その方向に目をやると、登村くん。 もう解き終えたの?早い。 プリントを裏返すのが、解き終えた合図。 そのうち裏返す音が増えてきて、12分くらいで、全員解き終えた。 「みんなすごい、がんばってるね、では答え合わせしていきましょう、名簿順の後ろから、はいどうぞ」 当てられた子が解答を板書して、あたしが解説を加え、質問があれば受け付けるスタイル。 だけど、みんな、ほぼ正解。質問は、少しだけ。 「はい、よくがんばりました、どうかな、今日のウォーミングアップ、軽かった?」 こんくらいできねーとまじぃよな、とか、ちょっと迷ったけどまぁこんなもんじゃない、とか、感想が聞こえてくる。 「わかりました、そしたら次回はもう少しランクアップしたのを用意するとして、授業に入ります」 せんせー、プリントは、と聞かれて 「あっ、ごめん、後ろから集めて提出してください」 みんな、動きが速い。 あっという間にプリントが集まって、プレゼントのドリンクの隣に置かれた。
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