24人が本棚に入れています
本棚に追加
/54ページ
美桜のチェックテスト
授業の初めにやってる、チェックテストのプリントを配る。
「なーんだ、プレゼントあげてもいつもと変わんないじゃん」
「だって、これはみんなのためのプリントだもの、いい?もうすぐ夏休みでしょ、みんな、これはできて当然、ていうのを集めてるんだからね、頼むわよ」
一列の人数を数えながら、プリントを最前列の子に渡し、後ろへ回してもらう。
「全員に届いたかな、今日はね、ある国立大学の問題から抜粋しました、15分で解いてください、いいですか」
ざわつきも、プリントが配られるたびに落ち着いて、いつしかみんなの顔は真剣。
「はい、では始めてください」
言い終わらないうちに、鉛筆やシャープペンシルの音が走り出す。
こんなにたくさんのドリンク、どうやって持ち帰ろう、とドリンクを見つめてから、集中の邪魔にならないよう、机間巡視。
間もなく夏休みのこの時期に、これくらいの問題で立ち止まっていては、夏休みに相当の努力が必要だけど、どの子の手も止まっていない。
よかった…
紙が動く音がして、その方向に目をやると、登村くん。
もう解き終えたの?早い。
プリントを裏返すのが、解き終えた合図。
そのうち裏返す音が増えてきて、12分くらいで、全員解き終えた。
「みんなすごい、がんばってるね、では答え合わせしていきましょう、名簿順の後ろから、はいどうぞ」
当てられた子が解答を板書して、あたしが解説を加え、質問があれば受け付けるスタイル。
だけど、みんな、ほぼ正解。質問は、少しだけ。
「はい、よくがんばりました、どうかな、今日のウォーミングアップ、軽かった?」
こんくらいできねーとまじぃよな、とか、ちょっと迷ったけどまぁこんなもんじゃない、とか、感想が聞こえてくる。
「わかりました、そしたら次回はもう少しランクアップしたのを用意するとして、授業に入ります」
せんせー、プリントは、と聞かれて
「あっ、ごめん、後ろから集めて提出してください」
みんな、動きが速い。
あっという間にプリントが集まって、プレゼントのドリンクの隣に置かれた。
最初のコメントを投稿しよう!