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お祝いのドリンク
山ほどのドリンクをようやく職員室まで運んだら、先生方にびっくりされて
「坂口先生、おめでとうございます、いや、愛されてますねぇ」
同期の戸坂先生にニヤニヤされた。
「もらっちゃっていいんですかね、これ」
「返したら生徒たちの気持ちが、ねぇ」
「それはそうなんだけど」
「俺ももらえるようにがんばろっと」
適当に誤魔化された気もするけど
「生徒たちの愛、もらって帰りまーす、お先です」
ありがたいけど、ドリンク20本は重たすぎる、と二重にした紙袋を持ち直したら
「あれ?せんせー帰り?」
登村くんに、声をかけられた。
「うん、今日はもう上がり、登村くんは部活?」
「さっきミーティングだけしたとこ」
あたしの荷物に目をやって
「それ、持ってやるよ、めっちゃ重たいっしょ」
返事してないのに持ってくれて
「帰り道、同じじゃん、一緒帰ろ」
確かに、あたしと登村くんの家は近いけど、生徒と一緒に帰ったことないよ、これって、あり?
なんて思ってるあたしに気付いてるのかどうなのか、登村くんは前を歩いてく。
「ね、ちょっと待って、早い」
「美桜せんせ、おっそ」
振り向いた登村くんの笑顔が、キラキラとまぶしく見えた。
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