カレカノ?ねーちゃん?

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カレカノ?ねーちゃん?

「そんなことより、どうするの、明日からの登校、それからお風呂とか不便でしょ」 「んだよー、教えてくんねーの?」 「だって困るでしょ?あ、朝ごはんはいつもどうしてるの?」 頼まれたわけじゃないけど、松葉杖使うほどの捻挫って、本当にいろいろ、困ることしかないよね… 必要なら、朝ごはんも用意した方がいいのかな、と思って聞くと 「朝はいつもパン焼いてっから大丈夫、食ってるよ一応」 「そっか、じゃあ朝ごはんは大丈夫ね」 「まじ、ねーちゃんみてーだな」 焼き魚とサラダ、スープはインスタントだけど、晩ごはんができたら 「やば、いー匂い、さんきゅ、美桜せんせ」 「どういたしまして、簡単だけどどうぞ」 「いっただきまーす」 ぱくぱく食べてくれてうれしいな、って素直に思う。 「ね、お風呂洗ってくるけどどこ?」 「いーの?そんな頼んじゃっても」 「だってできないでしょ、いいわよ、できることしてあげる」 「まじで助かる、ありがとせんせ」 困ってる生徒をほっとけない、だからできることをしてるだけ。 そう思いながらお風呂を洗って 登村くんが食べ終えたら食器洗いしてるうちに お風呂どうぞ、と言ったら 「せんせ、もう大丈夫だから帰んなよ、お腹空いたろ、俺ばっか食ってごめん」 「あ…そうよね、ごめん、よそのおうちなのに勝手にいろいろ…」 「や、助かったから。これ以上悪ぃし、家の人待ってんでしょ」 言われてみれば確かにそう。 夢中でやってて気づかなかったけど、とっくに7時を回ってる。 「頼まれてもないのに、押しかけちゃってごめんね、登村くん」 「ひとりなら困ってたからありがと、せんせ」 どうしようかな、と思いながら 「ね、明日からどうするの、ほんとに」 「な、それまじどーしよ」 「何かいい方法ないかな…」 ぼーっとしかけたら 「な、また遅くなるから帰れって、今度は俺が心配になるだろ」 「近いし大丈夫よ、すぐだから」 「つっても女のコだろ、あ、帰ったら連絡して、ちゃんと、い?」 「…うん、わかった」 なんかこのやり取り、カレカノみたい…あたしってば ってつい思っちゃう気持ちは、目をぎゅっとつぶって隠した。 登村くは、鍵かけるからと玄関まで見送ってくれて 「まじ連絡しろよな、待ってっから」 「うん、じゃ、明日ね」 「さんきゅ、ばいばい」 自転車に乗ったらすぐ家に着いた。 歩いても数分の距離なのに、今までこんな近くに学校の子がいることに気づかずにいたなんて。 担任でもないのに、家に上がって少しお世話するのってやりすぎなのかなと、今さら思って、でもひとりで不便だから、って、自分で自分に言い訳する。 お母さんにお帰り、と言われて、家に帰ると晩ごはんができてるのってありがたいな、と改めて思った。
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