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お兄ちゃんの車で
余計なお世話かな、と思ったけど
翌日から、車通勤のお兄ちゃんに頼んで、少し早く家を出て、登村くんを乗せて、学校の近くまで一緒に行くことにした。
「すみません、オレ、先生のお兄さんにまで迷惑かけちゃって」
「困ったときはお互い様だから、気にしなくていいよ」
このまま登村くんと一緒の登校ってよくないよね、と思っていたら
お兄ちゃん、友だちが運転の仕事をしているというので、送り迎えを頼めないかと相談してくれてた。
お兄ちゃんありがとう!!
「学割使えるって言ってたよ」
「え、そんなんあるんすか、助かります」
「ははは、ほんとはないけど、作るって」
「え…申し訳ないです」
「普通に乗ったら費用かかるし、美桜の大事な生徒さんだから」
後部座席で恐縮している登村くんに、運転席から優しく答えるお兄ちゃん。
「すみませんほんと、何から何まで」
「登村くんさえよければ、考えてみてね」
「いいんっすか、そこまで甘えちゃって」
「友だちもね、役に立ててうれしいって言ってたし、ケガしてて満員電車だと辛いっしょ」
「正直、すげぇ助かります」
登村くんが頭を下げるのが、ミラーに映って見えてる。
この話が決まったら、登下校の心配はなくなるな、なんて、外の景色を見ながら、保護者でもないのに、このときのあたしは、ほっとしてた。
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