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【一章 柊】
どこまで生きれば、赦されるのか。
どこまで逃げたら、振り切れるのか。
それから目を背けながら、直視しながら。
それから走り去りながら、必死に抱きとめながら。
時に震えるように。静かに叫ぶように。虚空に吠えるように。
僕は今を生きていない。僕は未来を見ていない。
僕はその場所にだけ存在している。
何よりも愛おしく、そして何よりも憎い。
「過去」の中でだけ、僕は生きている。
そして、もう戻れないその場所にだけ、君はいる。
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