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瞬間、電話越しでもわかるほど動揺した様子が伝わってきて。
「ちょっ、お前、……クッソ、何でもない! 今の全部忘れろ!」
「ヤダ! 絶対忘れない!」
電話の向こうの照れたみたいな声にもう一つふふっと笑って、そのままピンク色の紙パックを持ち上げる。
周りに人がいないことを確認してマスクをずらして、そうして、ストローから流れ込んでくる甘くて瑞々しい紅茶をこくんと飲み込んだ。
あ。わたし、今、青春してるかも。
くすぐったくて、だけれども、しあわせで。
こういう“青春”も、今だからできる、今しかできない、そんな思い出。
「香月、ありがとう……だいすき」
「うっせー! 俺もだいすきだっつーの!」
わたしたちを見守る夕陽は、きっとやさしく微笑んでいた。
Happiness is where you find it!
《幸せは、どこにでもある!》
めでたし、めでたし。
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