繰り返し聞かされた言葉

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繰り返し聞かされた言葉

 うちの家は父・母(毒親)・姉(3つ上)・私の4人家族。  小さい頃から、ことあるごとに母から「男の子が欲しかった」という言葉を聞かされてきた。 小学生ぐらいの時は純粋無垢で言葉の表面しか受け取っていなかったと思う。 「そうなんだ~」「おねぇちゃんとわたし、ふたりともおんなのこだもんね~」ぐらいの返答。 中学生になるとお小遣いの使い方だったり、消費税増税だったりでお金面も考えるようになって同じ言葉なのに捉え方が変化。 「3人目がんばろうにも経済的に難しくて、あきらめたんだな。」と思ったし、母も3人目をあきらめた理由を経済面にあると言っていた。 高校生以降、特に【母が毒親】だと分かって以降は、酷く深刻な捉え方をしました。 決まっていつも父が仕事でいない時に繰り返し聞かされた言葉。 「男の子が欲しかった」は言い換えれば「女の子は要らなかった」なのでは? 【経済的に3人目が難しかったからあきらめた】それは父への態度に過ぎなかったんじゃないのか。 独り言で済まさずに言って聞かせるやり方なのはどうして?  母は表面的な意味合いでしか言っていなくて、本当はあきらめがついていないだけかもしれない。たとえ、それが真実だったとしても繰り返し聞かされ続けた私はそう捉えてしまったことには間違いない。 男の子じゃないから育てないと育児放棄に向かったり、「産まなきゃよかった」と存在否定の言葉を直接言われたわけでもない。 そこまでの毒親でなかったことは、不幸中の幸いだったと思うことにした。 本当の最悪を回避していることに感謝でもしていないと、ショックが和らがなかった。 この捉え方にいきついてからは、「産まなきゃよかった」に近い言葉「男の子が欲しかった」をずっと変わらず言い続ける目の前の女を【母】ではなく、【家庭内の敵】と思うようになりました。  姉はどう感じているのかはわかりませんが、姉妹2人とも小中学生時代はボーイッシュだったと自他ともに認める状態でした。 深刻な捉え方に行きつく前から、無意識的に男の子っぽく振る舞っていたのかなと考えてしまったり。 制服のスカート以外で、スカートはおろか、ワンピースさえ着なかったし、姉妹2人ともピンク色は嫌いでした。髪型もショートヘア。 姉と私、それぞれが自分の意思で着ない・嫌い・ショートヘアで良いと選んでいると思っていたのは、実の所は母の「男の子が欲しかった」にできるだけ近づけて愛してもらおうとした結果だったんじゃないか。 成長していくほど、どんどん女性の体になるし、私に至っては髪の毛を伸ばす時期もあった。 延々と繰り返し言って聞かせるのは、女なのに、女になっていくのが気に食わなかったから? 母の叶いもしない不満その物でじわりじわりと(むしば)まれる。 ・・・遅効性の毒を味わっているようでした。
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