最悪なお見合いと、執念の再会

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「どうしてですか?」 「は?」 「どうしてこんな意地悪をするんですか?」 「はぁぁぁー?」  とことん理解できないと言った感じで間抜け声を出すエルディックに、リシャーナはバンッとテーブルを叩きつけて立ち上がった。 「私の事、嫌っているくせに!どうしてこんな中途半端に優しいことをするんですか!?」 「おい、誰が誰を嫌っているって?」 「エルディック様が私のことを、です!」 「馬鹿を言うな。お前が俺を嫌っているんだろ?」 「こんな時に、ご冗談はやめてください!」 「こんな時に冗談を言うわけないだろっ、馬鹿!」  最終的に馬鹿と言われたリシャーナは、悔しくて意味が分からなくて、鼻の奥がツンと痛む。  すぐに目頭までじんと熱くなって視界がぼやけてくる。今、自分はとても醜い顔をしているだろう。  子供みたいに癇癪を起こして泣き出す無様な自分を、これ以上エルディックに見られたくなかった。 「気分がすぐれないので、これで失礼します」 「おいっ」  くるりと背を向けて歩き出した途端、強く腕を引かれた。あっと思った時は、もうエルディックの腕の中にいた。 「まだ帰るな……頼むから、もう少しここにーーって、お前、なに泣いてるんだよ!?」  無理矢理に覗き込まれ、エルディックと目が合った途端、彼はこちらが驚くほど取り乱した。 「悪かった、言い過ぎた!でも泣くほどのことは……いや、泣いたんだから嫌だったんだよな。ごめん、すまなかった」  嫌っている相手が泣いただけなのに、なぜここまで困り果てた顔をするのだろう。  リシャーナは、全くもって理解ができなかった。
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