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 そもそも祥平とも十年以上会っていなかったのだ。そのあいだ、彼が何をしてきたかなんて本当のところは分からない。  何か企んでいる?  面会に来てくれた時の恭一からは誠意を感じたし、父の資産を返してくれたことも感謝している。だが、それが罠という可能性も……。 「しかし兄ちゃん、もっとみすぼらしくなってんのかと思ってたけど、意外とそうでもないね」   祥平が昔のようなあどけない笑顔で言う。  ――やめよう。  両親のことがあってから、疑い深くなってしまった。二度と会えないかもしれないと諦めていたところに祥平の無事を知れたのも、こうして再会できたのも、恭一のおかげなのだ。本当に彼が悪い人間なら、祥平もこんな風に笑っていないはずだ。今は唯一の家族との再会を喜ばなければ。 「お前はちょっと逞しくなったな。時間はたっぷりあるんだし、ゆっくり話そうか」  祥平が淹れてくれたコーヒーは少しぬるくなっている。香ばしい匂いと苦みが懐かしかった。
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