金色の鎖

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Hがすべてを放棄して崖から落ちようとしたら、 『危ないからこっちにおいでよ』 と呼び掛けてくれる金色の鎖。 小さな男の子が、 『そんなところで何してるの?こっちで一緒に遊んでよ』 と小さくもあたたかな手でHを草原の方へ引っ張っていってくれる。 緑一色の草原を見ると、Hの友達やきょうだい、両親やいつも親身になってくれる心療内科の先生や優しく話を聴いてくれるカウンセラーさん達が、大きな虹色のレジャーシートに座っている。 ピクニックみたいにサンドイッチやおにぎり、唐揚げやポテトなどを頬張っている。 足元にHの携帯が落ちていた。Hはそれを手に取ると、いつも見ているサイトを開いた。そこには、素敵な物語を書く人やキラキラしたイラストを描く人達がいつものように活動していた。 そして、Hにも夢や目標、やっていて楽しいことがあったなということを思い出した。だがすぐ焦りと諦めが去来した。 もう何もがんばる気力はない……。 もう駄目だ……。 そう思いながらも、 『何かお昼たべなよ~』 という少年の可愛らしい声が金色の鎖となって、Hを台所まで導いてくれた。
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