俺に出来るのは、ただこれだけ。

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ギュッと握る手の力が強くなり、ズルズルと頭がずり下がっていった。 「…煜太さんと会った時もまだ、俺たちは」 「いいよ、湊。もう、大丈夫だ」 「ッ…‼︎でも!」 「いいんだ、本当に」 これ以上、苦しそうな湊を見ていたくなかった。 それにある程度、予測はしていたんだ。湊と出会ってから相手が誰かとは問わずもそういう誰かがいるのはなんとなくわかる節があったのだ。 まさかそれが弟とは思いもしなかったが、だからより一層言い出せなかったのだとも思う。 『嫌われたくない』その言葉の意味にようやく、辻褄が合った。 つまり湊は、付き合っていないはずのしかも血が繋がっていないとは言え弟とそういう関係になっていたことを俺が知れば軽蔑すると思っていたのだろう。 「いいって何?もう俺とは付き合ってられないって意味?」 「それは違う!もうそれ以上話さなくていいんだってことだ!」 「だから、なんで?だって俺、やばい奴じゃん!普通に考えてないだろ?弟となんて」 「そうしなくちゃいけなかったんだろ?お前も司も」
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