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滝のように流れる涙が湊の頬を伝って俺の肩をみるみるうちに濡らしていく。
ギュッと抱きつく腕を離させないように、湊の背中を身体ごときつくきつく抱きしめた。
「煜太さん」
「なんだ?」
「…めっちゃ、好き」
ぎゅうっと胸が締め付けられた気がした。なのに痛くなくて、ドキドキと鼓動だけが早くなる。
幸せだ。もう二度と離したくない。いや、離さない。
そっと背中に回した手を解き、湊の両頬を包み込んだ。
「俺は愛してる」
「ッ、お、俺だって、愛してるし!」
ムードの欠片もないが、なんだか湊らしかった。
お互いどちらともなくふっと笑みが溢れ、瞳を見ながら微笑み合った。
「…キス、していい?」
「…もちろん」
重なった唇が熱い。熱くて柔らかくて甘い。
触れるだけのキスが気持ち良くて心地良くて、この瞬間のために今までがあったような感覚にさせられた。
どちらからともなく離された唇は艶やかに濡れていて、仄かに欲情していた自身が一層滾る。
このままベッドに。一度火がついた欲情を止められるほど人ができていないと、俺は湊の細い身体の下に手を差し入れようとした。
「なんか、プロポーズみたい、だったね」
けれど一瞬、その言葉に差し込む手が止まった。
上目遣いで何を言っているのだ、こいつは。可愛い、可愛い、可愛すぎて失神しそうだ。
反対に滾る自身はますます勢いを増している。もう我慢の限界だと言わんばかりのそれに、意識を集中させながら今度こそ背中と膝裏に手を差し込んだ。
「プロポーズなら、今日が初夜か?」
「は、はあ⁈なにおっさんくさいこと言ってんだよ!」
真っ赤にした顔で湊はバシバシ叩いてくるが、湊は気付いていないだろう。余計に欲情を煽ることに。
「ちょっと、まじ?煜太さん!」
「まじだけど?ダメ?」
「…ダメじゃ、ないけど」
最後の最後に、やられた。真っ赤に染めた顔を照れたように俯くなんて、反則だろう。
ぐっと足に力を入れて寝室に向かった。久しぶりの湊をたっぷり堪能しようと、心は既にはち切れていた。
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