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エピローグ
「ってわけなので、湊と会うときは俺の許可もしくは同伴でお願いします」
「ちょっと煜太さん⁈まじで何言ってんだよ!」
最近オープンしたという全国チェーン店の一角。俺の目の前には湊の弟、司がブスッとした顔で座っている。
「すみません、ってわけが全くわからないのですが」
どうやら司は俺のことが嫌いのようだ。敬語こそ使ってはいるが、口調がキツい。
だが、それも仕方ない。俺は今、司に現実を突きつけてしまったのだ。
「煜太さん、言い方考えてよ!司、ごめんな?」
内心、どうして湊が司に謝ると憤りはしたが、これ以上はさすがに大人気ない。
というより「湊は自分と真剣に交際しているから邪魔しないでくれ」という節のことを言ったわけだ、既に大人気ないことこの上ない。
「そもそも今日はそういう話するために来たんじゃないだろ?」
「いや、俺はこういう話も込みで来たつもりだが」
ああ、大人気ない。証拠に湊は呆れたと困り果てた様子だ。
わかってはいながらもつい、敵意を剥き出しにしてしまうのは、やはり俺の器が小さいからだろう。
実質、プロポーズまでしたというのにいざ俺以外の男を目の当たりにすると、眠っていた嫉妬心がむくむくと起き上がる。
「…煜太さんの言うことはわかりました。ですが俺たちは家族ですので、家族だけの集まりの際には遠慮していただきたいのですが」
司が妙に大人びた口調で言う「家族」のフレーズに、俺はぐうの音も出なくなる。
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