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そう言われてしまえば、太刀打ちできないのが現実だ。
現にまだ湊の母親にも挨拶していないのだから、母親からすれば俺はただ湊と同居している年上のお巡りさんでしかない。
早いうちに湊の母さんに挨拶にいかないと。
「そうじゃなくてさ、本題‼︎煜太さん?」
最近、湊は俺の心の声が聞こえるようでよく、遮られるようになった。
だが、湊の言うように本題は別にあるのだ。
湊と腹を割って話した翌日、俺は湊に誓ったんだ。
俺が湊と家族を支える一人になりたい、と。
あの件以来、考えていた結論を実現させるために司に向かい合った。
「年の差もありますが、精一杯湊を幸せにする努力をします。なので、俺を認めてもらえませんか」
そして心を込めてそう言った。
賑わうファミレスを選んで良かったとしみじみ思ったのは、しんと漂ってしまった静寂のせいだった。
賑わう声が俺たちの席の周りで飛び交っている。たとえば親子連れ、たとえばカップルに友人同士。
俺たちはどう見えているのだろうか。親子、はない、兄弟がいいところだろう。
いつかは生意気そうな目の前の司とも兄弟同然の関係になりたい、そう思いながら司を見た。
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