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「正直、湊くんがどうしてこの人って納得いきません。俺の方が湊くんを幸せにできると思っています。けど」
「けど?」
「湊くんの幸せが一番です。俺は湊くんが幸せならそれがいいんです」
ああ、こいつは本当に。俯きがちに言う司が可愛いくて仕方ない。
気付けば俺はテーブル越しに、がっしりとした司の肩を掴んでいた。
「ちょっと煜太さん⁈何してんの!」
「司くん、安心してくれ。俺は必ず、湊のことを幸せにする。約束するよ」
思いの外、がっつき過ぎたのかもしれない。そう悟ったのは、焦る湊の声と硬直している司の顔が耳に視界に入ってきたせいだった。
「煜太さん、ちょっと待って!」
振り向けば湊の小さな手にはめられた真っ白な手袋が俺を呼んでいる。
時はクリスマスイヴ。街ゆく人々はみんな、マフラーに顔を埋めながら恋人と家族と友人と、満面の笑顔を咲かせて歩いている。
俺と湊はニュースで見たクリスマスツリー見たさに、少し離れた駅まで足を伸ばしていた。
俺の可愛い湊は今日は一段と可愛い。白で揃えたという帽子、マフラー、手袋、それからコートが湊の白い肌を映させてくれている。
湊に呼ばれ、近づいていくと湊が顔を綻ばせる。
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