10人が本棚に入れています
本棚に追加
大巨人の見せた謎の攻撃に反応した大怪獣は、まっしぐらに猛進して来て狂ったようにトロみ水溶液を舐めまくった。
舐め終わり、名残惜しさに潤んだ瞳で見上げる大怪獣に対して大巨人が取った驚きの行動は、いきなり獣の首の位置を両手で締め上げるネックブリーカーというプロレス技の型だった。
「ニイィーヴーラア!」
と巨人がその時、そう聞こえる音節の変な呪文を唱えた。
同時に急に雲間が裂け光芒が射し再び大巨人の腕が輝き出した。
「あれで怪獣の首の骨を折るつもりだ!」
「違うギロチンのように切断するんだろう!」
最早、安心な場所から見物している高官共は下劣な野次馬でしかなかった。
腕の光りは急速に縮まり、やがてキラキラしたファンシーな首輪になった。
「これでいいわ。もう逃げ出しちゃ駄目よ」
その意を持つ翻訳不可能の言語を発した大巨人は、大怪獣の顎下や背中や脇下を大胆に弄り始めた。
「よーし、よし、よし」
その突飛な行動は北の大地に動物王国を持っていた有名な老人を想わせた。
大怪獣は醜悪な顔を喜びに歪ませ、ひっくり返って腹を見せ服従の姿勢をとった。
カスタネット色の大巨人は、それをお姫様抱っこで持ち上げると、
「ジュワッチョ!」
と叫び、地面を蹴って垂直に跳躍し、そのまま飛んで空の彼方に消えた。
最初のコメントを投稿しよう!