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「ところで私、記憶が消える病気だったのに、なんで今はこんなにはっきり昔の事が思い出せるのかしら」
「それは光子さんの脳の病気が原因であって心とは無関係っす。光子さんの魂は今は俺の肉体の中にあるから。魂は生まれ変わらない限りずっと記憶と共に生き続けます。自慢じゃないけど俺は身体デカい分、脳味噌も馬鹿デカいから、想い出もいっぱい貯められるし」
「でもね忘れるってことは哀しいことじゃないの。思い出すことの方が辛いこともあるから......」
光子は享年八歳だった息子が、流星マークの巨大ヒーローになって飛ぶ真似をしていた光景を鮮明に思い出してしまった。
「......あの子が生きていたら、こんな風に飛べる日が来たのかしら」
「あー無理っしょ地球人の進化では。でも、息子さんなら何処かで宇宙を飛んでいるかもしれないっすよ。光子さん輪廻転生って知ってますか? 地球人はそれが自分たちだけのものって思っているみたいだけど、生まれ変わりは宇宙規模で行われているっす。だって俺も今の星人の前は地球人だったの薄っすら憶えているもん。だから光子さんの息子さんも星人になって飛んでるかも知れないっすよ。......案外もしかして俺だったりして」
ルミナスは笑って冗談を言うが、それは光子の心を大きく震わせた。
星々の隙間にルミナスの瞳を借りた光子の涙が流れた。
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